IPA定義によるプロダクトマネージャー

経済産業省のIT関連政策実施機関であるIPAは、ITに関する様々なモノ・コトを体系的に整理して情報提供している。またITパスポート試験等の資格試験を実施しIT人材の評価も行っている。そのIPAでプロダクトマネージメントやプダダトクトマネージャーはどのように定義されているかみてみる

ITスキル標準V3 2011

まず前提としてITスキル標準において「職種」として「プロダクトマネージャー」を定義していない(P.24)

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定義されていない理由は下記の資料から推し量ることができる

ビジョンとプロダクトの橋渡し(プロダクト責任者)

冒頭、プロダクトマネージャーとプロダクトオーナーを含む概念として「プロダクト責任者」を紹介する(P.1)

近年IT系でプロダクト責任者(プロダクトマネージャー/プロダクトオーナー)が注目されている理由を下記図で説明する(P.6)

ウォーターフォール型開発が主流だった時代のプロダクト開発は、プロジェクト(事前のスコープ定義/期限管理/職能分業)視点で行われていたため、プロダクトの責任は上流(ビジネス要求)/中流(システム開発)/下流(サービス運用)と分割されていたが、アジャイル型開発に時代が移ると継続デリバリーや顧客フィードバックループの高速化等の影響でウォーターフォール的な責任分割は困難となり、フラットな分業を円滑に進めてプロダクトを開発する責任を持つポジションが必要となった

これはつまり「プロジェクトマネージャー」から「プロダクトマネージャー」に時代が代わったと考えるとわかりやすい

プロダクトとは「顧客の課題解決や顧客体験を提供するための製品やサービス(P.3)」であり「プロダクト組織」では、ビジネスチーム/プロダクト開発チーム/プロダクト進化チームの仕事に上下(ウォーターフォール型)の流れは無く、顧客提供価値を最大化するための「プロダクト責任者(プロダクトオーナー/プロダクトオーナー)」を中心としたフラットに組織が必要だと説く

DX白書2021

2021年末に発行されたDX白書(※IT人材白書/AI白書を統合)では、デジタル事業の実現を主導するリーダー格の人材として「プロダクトマネージャー」職を登場させている(P.5)

プロダクトマネージャーに対する企業側ニーズは、日米共に高い(P.16)

しかし、国内・事業会社のIT人材の職種・レベル別推計結果(P.41)をみてもわかる通り、サプライサイド(※事業会社側)に「プロダクトマネージャー」は存在しない

IT系企業(※SIer含む)のIT人材の職種・レベル別推計結果(P.42)にも、やはり「プロダクトマネージャー」は存在していない


プロダクトマネージャーという職種が求められているが、いまだサプライサイド(人材側)は What is the Product manager? という感じなのではないだろうか。だからプロダクトマネージャー関連書籍が売れる。