プロジェクトとプロダクトの関係

ITシステム開発のプロジェクトマネージメントを経験していく中で、プロジェクトの各フェーズ(要件定義や設計、実装、テストなど)についての知識やテクニックをチーム内で正確に共有する事や、チームの現在地についての認識をズレ無く共有する事に腐心してきた。

先人の知恵、例えば PMBOK、CPRE_IREB、REBOK、SEBOK、IPA 共通フレーム2013 等の知識体系や、ISO の 12207 や 29148 から学ぶことは多いけれど、かなり抽象化されているため実務レベルで利用する際はテーラリング(カスタム化)が前提となるし、具体的なテクニックについての言及は皆無である。そのため、新しいプロジェクトに関わる度にチームメンバーの性質に合わせてテーラリングし情報共有する必要がある。

テーラリングの際、先人の知恵より一段下げたフレームワークがあれば、自分も便利だし他の人も便利になるかもしれない。とずっと思っていたので、まずフレームワークを提案し、それを育てる基盤を作ってこうと思う。

と、壮大なことばっかりいっていると先に進めなくなるので、まずはプロダクトとプロジェクトの関係について自分なりにまとめてみる。

プロジェクトとプロダクトの関係

プロダクトとプロジェクトの定義は、 PMBOKガイド第7版でに従えば以下となる;

プロダクト: 生産され、定量化可能で、それ自体で最終生産物あるいはその構成要素となる作成物
プロジェクト: 独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期的な業務。プロジェクトの有期性とは、プロジェクト作業やプロジェクト作業のフェーズに明確な始まりと終わりがあることを示している。プロジェクトは単独で実行されることもあるし、プログラムやポートフォリオの一部として実行されることもある。

「プロダクト」は、1つ、2つというように数えることのできる生産物/作成物で、「プロジェクト」はスケジュール・期日が決められた業務活動と捉えるれば良いだろう。ITシステム開発プロジェクトの場合、ITシステムが‘「プロダクト」であり、そのプロダクトを開発する有期的(スケジュールのきられた)業務全体が「プロジェクト」だ。

ITシステムは、ソフトウェアによって機能追加や修正が可能なため、ライフサイクルにおいて「導入」〜「成長」〜「成熟」〜「衰退」というフェーズで進展する可能性を持っている。「成長」や「成熟」といったフェーズを持たずに「導入」〜「衰退(撤退)」で一生を終えるプロダクトも多く存在する。「成長」や「成熟」フェーズに進展できたプロダクトは一定の成功を収めたプロダクトと捉える事ができる。

projects in the product lifecycle

プロダクトマネージャー(PdM)とプロジェクトマネージャー(PjM)の担当範囲は、以上のように捉える事ができる。プロダクトライフサイクルの初期(導入)フェーズでは、PjMとPdMのロールを同一人物が兼任する場合も多いが、その場合でもPdMロールとしてプロジェクト1終了後、プロダクトのライフサイクル全体についてのタスクも管理する必要がある。

<開発プロジェクトの教科書シリーズ>

  1. プロジェクトとプロダクトの関係
  2. ITプロジェクトの各プロセスとは
  3. プロジェクトの成功と失敗